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神の山 祖母山


 祖母山の近くに住む大神氏(おおがし)の姫のところへ、毎晩気品のある若者が通っていました。若者は名も住まいも告げずに、夜に現れては明方になると消えるように帰っていきました。
ある日、姫は若者がどういう人なのか確かめてみることにしました。いつものように若者が来たので、姫は若者に気付かれないように長い糸のついた針を狩衣の襟に刺しておきました。
翌朝その糸をたどっていくと祖母山の洞窟へ続いており、その中から人の声とも思えない声が聞こえてきました。姫が洞窟の中に入ってみると大蛇ののどに針が刺さり、もがき苦しんでおりました。姫がその針を取ってやると大蛇は、「私は祖母岳大明神の化身なのです。あなたはやがて男の子を産み、その子は九州に名を馳せる者になるでしょう。」と言い残し息絶えました。その後姫は男の子を産み、その子が大人になると九州一の勇士になりました。
この子の長男が高千穂の三田井氏の養子となり高千穂太郎と名乗って、三田井家繁栄の礎を築きました。
祖母山は神山として知られており、神武天皇の祖母、豊玉姫を祭り姥岳とも高千穂明神とも言われています。

「高千穂の神話と伝説」(21世紀TAKACHIHO委員会編)より


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