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三毛入野命と鬼八


神代の頃、二上山の乳ヶ岩屋に鬼八(きはち)という悪神が住んでいて、山を下りては、あららぎの里の「鬼ヶ岩屋」に住み、七ヶ池(ななつがいけ)に棲む祖母岳明神の娘、稲穂姫の子、鵜目姫をむりやり妻にしてかくまっていました。
 ある時、三毛入野命(みけぬのみこと)が五ヶ瀬川のほとりにある七ヶ池を通られると水鏡に美しい姫の姿が映っており、命がその姫に問うてみると、「鬼八という者にむりやり連れて来られ悲しんでおります。」と言いました。
 命は鬼八を退治することになり、四十四人の家来を引き連れて乳ヶ岩屋を攻め鬼八を退治されました。
 鬼八の亡骸を埋めましたが、魔性の者のため何度でも息をふきかえしますので体を三つに切って別々に埋めたところ、鬼八は再び蘇ることはできませんでした。ところが早霜が降りて作物に害を与えますので、里人はこれを鬼八のたたりだと思い慰霊祭を行ったところ、霜は遅く降り五穀もよく実ったそうです。
(このお祭りは毎年旧暦の十二月三日、高千穂神社で猪掛(ししかけ)祭として、今も行われています。)
三毛入野命に助けられた鵜目姫は、命の妃になられ八人の御子を産み、子孫代々この地で十社大明神として里人に深く信仰されたということです。


※御毛沼命(みけぬのみこと)とも書きます。

「高千穂の神話と伝説」(21世紀TAKACHIHO委員会編)より


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